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放電によるウランガラス発光実験
(ガシオット実験の再現)
「今から100年以上前に、ガシオットという人により、放電によるウランガラス発光実験がなされ、19世紀の聴衆を喜ばせ、また、煙に巻いた」という記事を元に、UG同好会のAN会員が、これを再現されました。
ローレンス・パダシュによる「放射能の発見」という科学解説記事が「パリティ」という雑誌(vol.12
No.02 1997-02)に掲載されています。今回の放電実験はこの記事に出ているウランガラスを用いた発光実験の再現の試みです。実験を行ったのはガシオット=John
Peter Gassiot (1797-1877) という人です。当時は、X線も電子も発見されていませんでしたが、放電現象は物理学者の熱心な研究対象でした。ガシオットは真空に引いたガラス容器の中にウランガラス製の酒杯を置いて放電させ、容器内部のプラズマとウランガラスの発光を美しく演出しました。
この写真で輝いているのは、接合用ウランガラスパイプを利用して作製して頂いたワイングラス形状のミニチュアです。真空排気にはロータリーポンプ、放電にはテスラコイルを使用しました。ガラス容器内部の真空が良くなるにつれて、酒杯に注がれるように始まったプラズマの輝きは徐々に酒杯全体を包むように拡がります。最後にはプラズマの発光は消失し、電子衝撃により励起発光するウランガラスの酒杯のみが輝きます。当時の科学者も一般の人もこの光の美しさに魅せられたのでしょう。
詳しい記事が、2002年9月号の「原子力eye」という雑誌に掲載されました。同誌は廃刊になってしまったので、原稿(PDF)を掲載します。
ここをクリック下さい「時の彼方からよみがえるウランガラスの輝き」
また、「ウランガラスの科学利用」という記事(PDF)が下記のWEBで公開されています。英文です。
http://www.sis.org.uk/bulletin/92/Brenni.pdf
実験をするAN会員。
中央にガラス容器。その中にウランガラスの酒杯。左の黒い箱はテスラコイルで、そこから発生した高電圧・高周波をガラス容器の中の電極に伝えているところ。なお、真空ポンプは机の下で見えない。 |
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真空に引いたガラス瓶に、テスラコイルによる高周波・高電圧を流している所。
フラッシュを焚いたので、放電が見えなくなっている。 |
右下は、ガラス瓶内をイオン化して、紫色の放電が見える状態。その中に、直径2cmほどのミニチュアの酒杯(UG製)を置いて、放電によりUGが見事な緑色蛍光を発している状態。
通常、UGでは、紫外線でウランが励起され、緑色蛍光を出すが、この実験では電子によりウランが励起されて、緑色蛍光を出している。 |
ガシオットがこの実験をしたのがいつかは、雑誌の記事では不明です。
なお、下記の記事だと、1852年とのことです。http://physics.kenyon.edu/EarlyApparatus/Static_Electricity/Gassiots_Shower/Gassiots_Shower.html
その後、1857年に、物理学者でガラス細工技術者であったハインリッヒ・ガイスラーが「ガイスラー管(Geissler tube)」を発明しました。
減圧したガラス管に、ネオン等のガスを封入し、電極を設けて放電させて、各種の発光をさせる実験を行ないました。
なお、右のガイスラー管では、中央の渦巻き部分にウランガラスを使っています。 |
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この後、1900年前後の10年間は、20世紀の歴史を変える大発見が続いた時期でした。
1895年 レントゲンがX線を発見
1896年 アンリ・ベクレルがウランからの放射能を発見。
1897年 トムソンが電子を発見
1898年 キュリー夫妻がラジウムを発見
1900年 プランクの量子論
1903年 ライト兄弟による飛行機の実験
1904年 長岡半太郎の原子模型の理論
1904年 フレミングによる真空管の発明
1905年 アインシュタインの相対性理論
なお、エジソンが白熱電球を発明したのは1879年ですが、1896年に放電管によるランプの特許を発明しています。これが現在の実用的な蛍光ランプに繋がってきたのです。(蛍光体ハンドブック、塩谷繁雄 編 他参照)
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