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ウランガラスよもやま話し(2)
日本のウランガラス(UG)は大正から昭和の初めにかけて製造されましたが、メーカー名は殆ど分かっていません。その中で、雑誌「鉄道ファン」2003年3月号に大森潤之助さんが書かれた記事の中に「島田硝子(大阪・日本)が大正時代に、英文「SHIMADA, OSAKA, JAPAN」と、その名前を記したガラス瓶を輸出用に製造していた」ということが書かれています。
その後、UG同好会の河本会員から「島田硝子の創始者:島田孫市とは以下のような人物らしくご紹介します」との記事が寄せられました。
近代ガラス工業の礎となった有名な「品川硝子製造所」は、明治6年に始まり、政府の殖産興業政策を受けて、板ガラスの製造を目指したものの、これを達成することなく明治25年に経営難から約20年の幕を閉じた。明治維新が英国技術に多くを頼ったための失敗と見られている。しかし英国、ドイツ、オーストリア等から技術者を招聘して伝習生を育成し、ここで育った伝習生が日本各地に散って日本のガラス産業の草分けになることとなった。日本で初めてステンドグラスを作り、後に岩城硝子の創始者となった岩城瀧次郎をはじめ、徳永玉吉(徳永硝子)、谷田磐太郎(東京硝子)など40人近くに及ぶ。日本で本格的に板ガラス製造を商品化した島田孫市も伝習生の一人で、明治21年に大阪で「島田硝子製造所」を設立している。(大正9年時点で職工数500余名との情報あり)。同社は戦後、「東洋ガラス株式会社」と社名変更し、現在も営業している。
なお、岩城硝子(現在も営業)の創始者となった岩城瀧次郎は米国からUGの製造法を持ち帰ったとされていますので、彼が島田硝子へUG製造法を伝えたのかも知れません。(2003年4月) |

広口瓶。
蓋に「SHIMADA,OSAKA,JAPAN」とある。
かなり出回っています。 |
日本のウランガラス製造工場は、島田硝子はじめ、大阪に多いことが分かっています。なぜ、大阪にガラス工場が多かったのか、2008/3/17の日本経済新聞の記事で知りました。
なぜ、大阪にガラス工場が多かったのか
4月といえば、大阪造幣局の桜の通り抜けが有名です。
JRの駅にも「桜ノ宮」というのが近くにあります。
八重桜が主なので、4月後半の1週間だけ、構内を通り抜けて、桜見物が出来ます。 |
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明治4年、新貨条例が布告され、日本の通貨単位が「円」となりました。
政府は大阪に造幣局を作り、新しい貨幣の鋳造を始めます。当時は江戸幕府が崩壊し、大阪がこれからの日本の中心になる、との意気込みで、大阪になったとかいうことです。
所で、貨幣を造るには、金属の製錬が必要で、そのために、政府は明治14年(1881年)、大阪造幣局で硫酸の製造を始めました。そして、塩と硫酸を原料として、ルブラン法による苛性ソーダやソーダ灰の製造を開始しました。
これが、日本の化学工業のスタートでした。この苛性ソーダを民間で利用しようと云うことで、ガラス工業が大阪で始まった訳です。
その後、第二次大戦の爆撃で、ガラス工場の多くが破壊されました。 |
| ウランガラスから出てくるのは、どんな放射線ですか? |
以前から、ウランガラスから出てくる放射線について、気になっていたので、放射化学の教科書を引っ張り出して、勉強しました。30年以上前に、三宅千枝先生の講義で使った物です。(「核化学と放射化学」丸善出版)
1)まずは、ウラン238から。
ウラン238
(半減期45億年、アルファ崩壊) |
⇒ |
トリウム234
(24日、ベータ崩壊) |
⇒ |
プロトアクチニウム234
(1分、ベータ崩壊) |
⇒ |
ウラン234
(25万年、アルファ崩壊) |
放射化学の教える所によれば、物質の放射能は、原子数に比例し、半減期に反比例します。さらに、親核種の寿命より娘核種の寿命が短い時(上のような例)では、いわゆる「放射平衡」が成立し、親と娘の放射能は同じ値になります。上のケースでは、母親と、娘と、その孫娘がいるので、結局、U238原子1個が崩壊する時に、ベータ崩壊を2回する、即ち、ベータ線(電子)が2個出る、ということになります。45億年に比べれば、24日や1分は一瞬ですから、ウランから直接ベータ線が出ていると言ってもいいでしょう。
2)ところで、ウランにはU235が0.7%含まれているので、こちらについても調べて見ました。
ウラン235
(半減期7億年、アルファ崩壊) |
⇒ |
トリウム231
(26時間、ベータ崩壊) |
⇒ |
プロトアクチニウム231
(3万年、アルファ崩壊) |
こちらは、U235が1回崩壊する度に、1個の電子(ベータ線)が出るということになります。但し、「物質の放射能は、原子数に比例し、半減期に反比例」という法則で考えると、原子数密度が140分の1で、半減期寄与が7倍、というのを考慮しても、U238より1桁放射能が小さいということになります。
3)さらに、天然ウランにはU238と、U235のほかに、U234が0.0056%含まれています。量はU235の1/100ですが、半減期が25万年なので、次のように、放射能はU235よりずっと大きいのです。。
ウラン234
(半減期25万年、アルファ崩壊) |
⇒ |
トリウム230
(8万年、アルファ崩壊) |
こちらは、娘各種のトリウム230は半減期が長くて実際は崩壊しないと考えてよく、U234が1回アルファ崩壊するだけ、と考えてよいでしょう。
4)以上より、、「物質の放射能は、原子数に比例し、半減期に反比例」という法則で考えると、
| 核種 |
天然U中の存在量 |
半減期 |
放射能(天然U1g当たりのベクレル値) |
放射能(娘核種も考慮) |
| U238 |
99.3% |
45億年 |
12,000 Bq/g-nat.U |
36,000 Bq/g-nat.U |
| U235 |
0.71% |
7億年 |
600 BQ/g-nat.U |
1,200 Bq/g-nat.U |
| U234 |
0.0057% |
25万年 |
13,200 Bq/g-nat.U |
13,200 Bq/g-nat.U |
となり、U235の放射能寄与は非常に小さく、U238とU234が同程度となります。さらに、上のベータ線の寄与を考えると、U238は3個(アルファ1個+ベータ2個)に対し、U234はアルファ1個のみなので、結局一番右側の列のように、U238の寄与が全体の7割を占めることになります。
ところで、ウランガラスの記事の中には「最近は劣化ウラン使用だから放射能が小さい」という記載もありますが、劣化ウランはU235とU234が天然ウランの3割になっているので、上のU235とU234の放射能値を3割にしても、全体ではU238の寄与が大きく、2割程度低下するだけです。
また、話は飛びますが、米国が湾岸戦争などで使用した劣化ウラン弾の放射能は「劣化しているから弱い」訳ではありません。単に、U235が天然ウラン(0.7%)より少ない(0.2-0.3%)というだけです。IAEAは「天然ウラン鉱石(各種の娘核種を含む)よりは6割低下する」とHPなどで書いてます。
なお、上のアルファ崩壊、ベータ崩壊は、いずれもガンマ線を出すのですが、そのエネルギーは50KeV程度で、U235のアルファ崩壊のみ200KeVと大きく、検出器の感度によっては、U235の寄与も多少あるかも知れません。
以上をまとめると、ウランガラスでは、ウラン(U238)が崩壊して、アルファ線、ベータ線、ガンマ線のいずれもが出てくる、と云えます。また、ガンマ線は透過力が強いので小さい検出器では測定しにくく、一方、ベータ線は適度な強さである為、測定しやすいと、思われます。(2003年4月、6月)
西村会員から、放射能測定器「ガンマスカウト」で測定された結果を頂きました。
「1分間のパルス積算モードの結果、バックグランドは、α+β+γもβ+γもγも、9から12パルス/分でした。直径2.5cmのウランガラスのビー玉では α+β+γ=36パルス/分、β+γ=32パルス/分 、γ=13パルス/分 でした。一方、ピッチブレンド(閃ウラン鉱、カナダ産)では、α+β+γ=318パルス/分、β+γ=256パルス/分、γ=14パルス/分 でした。」とのことでした。
バックグラウンド=10とすると、ビー玉では、α=4、β=19、 γ=3、ピッチブレンドでは、α=62、β= 242、γ=4、となります。ピッチブレンドには、アルファ線を強く出すラジウムが含まれているので、数値が高くなります。
(2003年4月)
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